学生が何か発見して喜んでいると,自分の事のように喜びました.
「面白いねぇ.もっと調べてみなよ」
その喜びに触れると,また研究に対する意欲が新たになりました.
研究者の間でおろそかにされがちな一般に対する啓蒙活動も、書物やTV出演などを通じて盛んに行っていました。
色々な事を、色々な人と共に、色々な場で考え、伝えた彼ですが、残念ながら,その考えが本人の口から語られることは二度とありません。
しかし、今もなお、書物という形式を通じて彼のミーム(文化的遺伝子)が我々に語りかけてきます。その広範な知識と独特の人柄から生み出される文章は人の心を引きつけずにはおきません。ぜひとも、書物を開き、彼の考えと人柄に触れてみることをおすすめします。
略歴:
1953年3月12日 葛飾区柴又に生まれる
1976年 東京大学理学部卒
1982年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、理学博士
東京大学理学部助手
1983年 静岡大学理学部助教授
1998年8月21日午前0時51分 MPVを運転中,千葉県富津において交通事故により他界
著書:
1992 「ワイングラスかたむけ顕微鏡 古生物学者のひとりごと」国際書院
様々な切り口から古生物学というものに触れることのできる本です。タイトルに触発された阿部研の某Oさんは実際にワインを飲みながら顕微鏡を覗いていましたが・・・.
1994「海蛍の光 -地球生物学にむけて-」 筑摩書房
ISBN4-480-04178-8
ウミホタルについて、唯一にしてもっとも優れた入門書です。是非とも御一読を!
1996「太古の海の記憶 オストラコーダの自然史」 (池谷仙之との共著) 東京大学出版会
ISBN4-13-060166-0
前古生物学会長・池谷仙之との共著で、オストラコーダの研究を通じ、古生物学について考える本。

訳書:
1997「地球を動かしてきた生命」
P.ウェストブルック著 国際書院
1998「失われた化石記録」
J.W.ショップ著 講談社
1998「地球科学の巨人たち 科学者たちの素顔に迫る」
リチャード・レイメント著 東海大学出版会
研究:
阿部勝巳は古生物学者ですが,現生の生物を研究することで過去に生きていた生物の実像にアプローチしようとしていました。様々な新しい技法を用いて生態などを解析し、考えをめぐらせました。
積極的にヴィデオ観察や写真のパソコン取り込みなどを導入し,美麗な写真や画像をもちいて研究を進めていました.
「同じ内容なら絵が綺麗な方がいいよ.わかりやすいからね」
写真,ムービ,しまいには3DCGアニメーションまで….グラフィカルな発表は阿部研出身者の最大特徴かも.
DOME!DOME!

千葉県館山にある別荘:ドームハウスです.(1999年4月頃)
変わった形です.なんでもフラーレンの構造がモデルだそうです.
館山にウミホタルを採りに行くとここに泊まるわけですが…
夕方に出かけてスーパーでエサを買いこみます.
人間用とウミホタル用の2種.
暗くなったらウミホタルを採集します.
夜は炭火で焼き肉です.
ウミホ話に興じるうちに時を忘れていきます.
夜も更け,肉がなくなったら次は餅です.
焼いてしょう油とノリで食べます.
ただのパック餅なんですが,ドームで食べると不思議とおいしいのです.
・・・で,翌日起きると昼ですね.なぜか.
しかしですね・・・:
実は学生のお菓子や食料を食べてしまう悪い人です.
ゼミ菓子なんかもすぐに消えます.
たくさん事件が起こったようです.
本当に変わった人でした.
妖しい臭いがすると思ったら,香をたいていたとか,
部屋の中は植物だらけだったとか・・・.
あとゲーム大好き人.ひそかにHDにゲームを隠していたり.Snoodとか….
普通学生がゲームばっかりやってたらたしなめるもんですよね・・・.
自ら次々とニューバージョンを導入,学生にもたらす教官は珍しいですね.
(阿部研が無くなってからI,T両教官に怒られましたよボクは.)
麻雀もやりたそうでしたが,メンツが揃わなかったので出来ませんでした.残念.
1993年から98年まで、静岡大学理学部地球科学科(現生物地球環境科学科)に存在した阿部研究室では、
阿部勝巳と学生たちがウミホタルやポドコーパ、ヒザラガイ、ムネエソ、サンゴなどに関する研究を行いました。

99年春ごろ(一人だけ阿部研ではありませんが)
やっぱりウミホタルを含むオストラコーダ関係が多いです.
でも中には深海魚とか貝,サンゴもあります.
みんな海関係ですね.
久保田 弘
1995 介形虫における左右の非対称性の生態学的意義
篠崎 史典
1995 ウミホタルにおける背甲形態の地理的変異と個体発生に伴う背甲形状の変化
妹尾 洋一
1996 相模湾産中・深層水性ムネエソ科魚類の個体発生及び生活史に関する研究
竹之下 早小理
1996 ヒザラガイ類の摂食生態
1998 鍋田湾岩礁地潮間帯に生息するAcanthopleura japonicaの生態学的研究
堀内 純
1996 ウミホタルに寄生するCypronicus ovalis(甲殻綱等脚目)の繁殖戦略
1998 Myodocopa(甲殻綱:介形虫亜綱)を宿主とする寄生生物の進化生態学的研究
一宮 英生
1997 単体六放サンゴHterocyathus属の古生物学的研究
小野 拓郎
1997 ウミホタル(Vargula hilgendorfii)及びイズウミホタルモドキ(仮称:未記載種)における上唇腺の比較形態学的研究
1999 Myodocopa(甲殻綱:介形虫亜綱)の上唇腺における形態学的研究
山田 耕司
1997 ウミホタルとイズウミホタルモドキ(仮称)(貝形亜綱ミオドコーパ目)の比較形態学,生態学的研究
1999 日本産Myodocopa(甲殻綱:介形虫亜綱)の種分類と繁殖生態
島津 恵理香
1998 オストラコーダの第2触角から出る糸の生態学的意義
山村 奈園
1998 ウミホタルの反射性小器官について
若山 典央
2000 ウミホタルVargula hilgendorfii(甲殻綱:介形虫亜綱)の胚期発生
歴史の終わり
あーあ.残念.